シドニー・ルーメット監督の「評決(The Verdict)」
シドニー・ルーメット監督の「評決(The Verdict)」は1982年のポール・ニューマン主演の法廷映画です。エリートコースから大きく外れ、離婚し、アルコール依存症に陥った弁護士Galvinが再起を賭けて医療過 誤訴訟に挑みます。
出産時の麻酔処理の誤りが原因で植物人間になった女性の弁護、相手はマサチューセ ッチュ州ボストンの地域に根ざしたカソリック系大病院の有名医師とそれを弁護する腕利きの弁護士コ ンキャノン、到底勝ち目のない裁判でした。Galvinは入院係をしていた看護師、キャサリン・カステロ・ プライスの証言により絶体絶命のピンチからの大逆転勝利を掴むのです。
法律的には認めらず(unsubstantiateed)、記録から抹消された(striken from the records)彼女の証言を陪審員が最終的には高く評価し、陪審員制度の存在価値、法律論と常識論の関係が問われ、大きな話題となった映画です。Frank Galvinの陪審員 に対する最終陳述はまさに圧巻で、心に響くものがあります。
Frank Galvinは陪審員に、「あなた方が法律である、法律そのものである」と語りかけるのです。素人の集まり、情に流されがち等多々批判がある陪審員制度ですが、アメリカ社会が陪審員制度により正義を実現している姿に心を打たれます。多様な価値観、人種で成り立つアメリカ社会ですが、神の前で宣誓することにより証言では絶対に嘘はつかないというキリスト教社会の前提があるからこそ裁判、陪審員制度が成り立つことを思い知らされます。