#287 著作権の使用料と著作物の利用許諾【2022/03/22】著作権法と所得税法の整理の難しさ
https://anchor.fm/dashboard/episode/e1g26m8
https://stand.fm/episodes/623907c235f2720006d21ed4
・日本の著作権法は1)著作権の譲渡、2)一部譲渡
及び3)著作物の利用の許諾に分けて議論されますが、1)と2)は実務的にはほとんど使われていません。
・著作物の利用と使用は明確に分ける必要がありますが、著作権の使用料はその定義が不明確であり、国税不服審判所平成16年裁決は問題が多々あります。
・著作物の利用の許諾の利用方法と条件の範囲が重要
・利用方法と条件に著作権使用料は含めなくても良いという議論
・無償でも良いことを意味するのか、そもそも原稿料・印税(著作権使用料)とは何か
・特定の著作物について著作権を使用することが著作権使用料
・美作太郎.1981.『著作権と出版権-いま何が問題か-』.日本エディタースクール出版部.
・「著作物の利用と使用」という議論と「著作権の使用料」という議論が上手くリンクしていない、ひょっとすると同じことを言っているだけかも(不毛な議論の可能性)
・そうは言っても「著作権使用料」の中身は著作物の利用ではないか、出版社がらみで使用はあり得ない(細川健コメント)
・この3つに分けて議論が進んでいるのは間違いないが、著作物の利用許諾がネックになっているのは間違いない(細川健コメント)
・日本では著作物の利用許諾しかほとんど使われていない
・著作物の利用と使用、著作物を利用するとは著作物を複製する、公衆送信するといった著作権者の許諾がなければできない行為、本を読むことやCDを聴くことは使用
・第30条(私的使用のための複製)
・第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
・第32条(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
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・「原稿料・印税は、法的には著作権使用料ということになります。……(中略)……原稿を特定の出版物として複製すること許諾する場合、および著作権者=著作権者が相手方の出版権に出版権を設定し、出版権者としてその著作権を使用する権利、つまり著作物の複製・頒布の排他的権利を認める場合に、その著作権の使用に対する対価に相当するものが原稿料・印税なのです。」(美作太郎、著作権と出版権、日本エディタースクール出版部、5・6頁)
・日本音楽出版協会 著作権使用料が徴収されるまで
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・私の知る限り、筑波大学にいた斉藤博教授が著作権法の使用料(ロイヤリティ)について、最も詳しかったと思います。
・筑波大学大学院在学時代に直接質問をする機会に恵まれ、次のような説明を受けました。
・私自身は十分に腑に落ちましたが、御本人の著書等に著されているかは定かではありません。
・使用料(ロイヤリティ)は使用ではなくて利用の対価なので使用料は確かに問題はあるが、ロイヤリティ=使用料で翻訳として定着しているのではないか
・細川健の著作権論文は誤解を招かないように、「使用料(ロイヤリティ)」で統一したらどうか
・旧所得税法第161条第7号(現所得税法第161条第1項第11号)の定義を見ると、著作権の譲渡による対価とそれ以外に分けて定義していて、それ以外はロイヤリティ=使用料と解釈でき、著作権法の考え方に依拠しているのではないか
・著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価