偽税理士はどこまで許されるのか?

偽税理士はどこまで許されるのか?

偽税理士の定義は簡単である。税理士資格がないのに税理士業務を行うことである。そうはいっても、この偽税理士問題、根は深くて非常に厄介な問題でもある。
理由ははっきりしている。

⑴税理士固有の業務範囲とは?
偽税理士問題が厄介なのは、税理士固有の業務の範囲が不明確だからである。そうすると、「偽税理士はどこまで許されるのか」という問題に落ち着くだろう。
まず、経営コンサルタントと称する輩、偽税理士がアドバイスする内容は税法に限定されないということである。経営一般を税務の話をからめながらアドバイスすることが多い。そこには他の法律、コンピュータ・ソフトの話もからむ。果たして、税法をアドバイスする経営コンサルタント=偽税理士かというと、疑問符がつくし、基準が明確でない。
1)税理士でもないのに、確定申告書を依頼を受けて作成する、2)名刺を作成して税理士を名乗る、3)税理士として署名捺印する場合のように、はっきりと偽税理士と判断できる典型例は逮捕されるが、そうでない場合が多い。
ベストセラーになっている元国税職員の節税本(もちろん、無資格だが、当然ながら節税を売りにしている)、仕事の受注とアドバイスは全てやるが申告書作成だけは税理士に外注、大手会計事務所所属に無資格者が講演活動となると、印税、報酬イコール税理士業務の対価に近いので大問題であることは明白である。

⑵偽税理士は税理士と一緒に活動
次に、偽税理士は税理士と一緒に活動する場合が多い。名詞を2枚作っていて、あるときは経営コンサルタント、あるときは、会計事務所事務員になりすます場合もある。
同じ問題なのか定かではないが、大手の会計事務所、ビッグ・フォーで働く者に税理士資格があるかないかは気にも留めない一般人がほとんどであろう。無資格者が税務コンサルをやっているとは誰も思わないという事実がある。
税理士と一緒に活動する偽税理士を国税や税理士会がどのように取り扱っているかは微妙であいまいな問題でもある。そして、その背景には、食えない大勢のOB税理士が大手の会計事務所所属の、ビッグ・フォーに雇ってもらっているという背景がある。

⑶無資格者を何百人と雇う税理士事務所
⑵と同一の問題かもしれないが、無資格事務員を何百人と抱えた税理士事務所で、無資格者が自由に仕事をしている(調査立会い、修正申告の作成、まとめ等)とすれば大問題である。しかしながら、そういう事務所が摘発された例を仄聞ながら聞いたことがない。摘発されるのは3つのパターンだけである。
⑷弁護士、公認会計士は税理士になれる
さらに、弁護士、公認会計士は登録すれば自動的に税理士である。なぜ、税務経験が皆無の弁護士、公認会計士が自動的に税理士になれるのかという素朴な疑問があるが、制度で認められていれば仕方がない。逆に、「この人、どう考えても税理士業務中心だよな」という弁護士、公認会計士が税理士登録していないケースはままある。でも、とがめるだけの理由があるだろうか?実際にも咎められていないようである。

⑸税理士が尊敬されない理由
 税理士の権威が失墜し、尊敬されない職業になってしまったのは偽税理士問題に毅然たる態度を取らなかった関係団体のトップのあり方が一つの原因であろう。国税も、税理士会もこの問題には及び腰である。

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